2017年7月15日(土)・16日(日)・17日(海の日)におこなわれた「サマースクール2017」の報告です。

(1)野原と小川の自然観察会

報告/横須賀「水と環境」研究会 中村修二郎
写真記録/おおくすエコミュージアムの会 木皿直規

日時:7月15日(土)10時10分~14時20分
会場:湘南国際村めぐりの森(駐車場~調整地下・尾形瀬川源流部)
担当団体:NPO法人三浦半島生物多様性保全、横須賀「水と環境」研究会
案内・解説:
(野原):天白牧夫(NPO法人三浦半島生物多様性保全)
(小川):中村修二郎(横須賀「水と環境」研究会)
参加者:3組8名(おとな 5人、こども 3人)

野原の生きもの、植物観察

小川(尾形瀬川源流部)に行くまでの道路沿い、野原の生きもの、草花を観察しながら歩き、途中、水分補給休憩
途中の小川状水たまりでガムシ、マメゲンゴロウの幼虫、ウスバキトンボのヤゴが見つかる(マメゲンゴロウの幼虫は小川にいるのとは別種だという)

小川の生きもの採取と解説

川幅約1.5m、深さ10~30cmの小川に入り、あるいは岸から参加者全員とスタッフが小さな網をもって川の生きものを採取し、バットに入れて生きものの解説を行った。また、川底の析出物(炭酸カルシウム)の説明を行った。 

[主な生きもの]・モクズガニ(大・目視のみ)、サワガニ、トゲナシヌマエビ、ヤゴ2種(オニヤンマ、ヤマサナエ)、ガムシ、カワニナ、モノアラガイ、アメンボ、シマアメンボ

[その他の解説]湘南国際村の地下には石灰質の地層(鍾乳洞もある)があるため、水にカルシウムが多く含まれていて、流れる途中空気に触れて析出し石灰華の塊ができる。10㎝と20㎝の塊と8㎝φの木片表面への付着物(断面を見ると析出物の厚み5mmに達していた)を皆に見てもらう

感想・課題

参加者は家族2組と個人の8名で、子供は未就学児1名、小学校低学年2名。スタッフ9名と多く、目はいきとどいた。

昆虫を追いかけて歩いたので子供たちも楽しそうだった。また、草食のバッタ類と肉食のスイッチョなどとの違いはどこか?と天白さんから宿題が出され、大人も巻き込んでの散策となった。(答えは触角の長さで草食は短く、餌を捜すのが大変な肉食は体長より長い)

アオバハゴロモの幼虫、ウスバカゲロウの近縁種の幼虫を見つける(いずれも泡状乳白色の蝋状物質で覆われている)
イラクサ科のカラムシの前で、この茎の繊維を利用したカラムシ織りの歴史的な観点を含めて作り方の話しがされた。織りの技術は重要無形文化財になっているという。

参加者に感想を聞くと楽しんでもらえたようであるが、暑さと高低差はきつかったようである。夏場よりも涼しい頃がよいかもしれない。

(2)環境カウンセラー養成支援講座

NPO法人かながわ環境カウンセラー協議会(KECA)高橋 弘二(横須賀「水と環境」研究会)

開催日時:2017年7月16日(日)10時10分~14時20分
□会場:湘南国際村センター206号室
□受講者:3名、申込は4名だったが、1名(横須賀市佐島)前日に欠席連絡あり
小堀氏(千葉県松戸市)、野中氏(葉山町)、斎藤氏(川崎市・KECA会員)

□講師:高橋弘二(主担当)、中村修二郎(以上、KECA)、今井俊一(自然ふれあい楽校)
高橋利夫(KECA副理事長、挨拶の後、講師サポート)
□参加費:@1,000円

環境カウンセラー申請書作成要領のアドバイス、「面接」での体験談や、課題論文の作成についても実践的な講習をおこないました。
環境カウンセラー養成支援講座

(3)森の自然観察会

報告/おおくすエコミュージアムの会 野崎章子
写真記録/おおくすエコミュージアムの会 木皿直規

日時:7月16日(日)10時10分~14時20分
会場:湘南国際村めぐりの森(主に子安緑地)
参加者:4組9名(おとな 5人、こども 4人)
サポーター:おおくすエコミュージアムの会、We Love自然ふれあいの森、KIKI子供の家、葉山の環境を守る会

子安緑地に向かって出発、観察指導と解説など・・植物:野崎、昆虫:飯塚浩、野鳥:小林
子安緑地入り口に到着 樹木の葉が(光合成のため)どのようにして太陽光を集めているか、手鏡を使って観察。
大楠小学校植樹地とファミリー植樹地を見学

“木漏れ陽の森”と“もやしの森”の境界地点で、大人の参加者を対象に落葉樹林と照葉
樹林、陽樹林と陰樹林の樹林形態や生態系の違いについて説明。また、極相林についても簡単な説明を加える。

子安緑地の中心、“大タブノキの森”
鎌倉、三浦半島古木名木50選の1本、約350歳のタブノキ を見学

森のワークショップ、参加者一人ずつが作品作りを楽しむ。
「葉っぱトランプ」と「葉っぱスタンプ」・・指導:飯塚
「虫たちの切り紙細工」・・作成:飯塚浩

“大タブノキの森”を出発して“地球環境戦略機構の庭”に向かい、“地球環境戦略機構のビオトープ”で水辺の自然観察

感想・課題

・週明けから続く猛暑のためか、子どもの体調不良が理由で当日キャンセルが多く、参加者は申込の半数以下で小規模な観察会となってしまった。しかし反面、行き届いたサポートと内容の濃い活動ができ、参加者からもスタッフからも「楽しい観察会だった」との感想が聞かれました。
・当日の活動の準備として、7月10日(月)午後、観察地(主に大楠小学校植樹地周辺)の草刈りを実施したが、作業時間と作業人員数が足りず、“森の陽だまり広場”までは刈払いができなかった。この広場での活動メニューを加えることができれば、より充実した観察会ができたと思う
・タブノキの幹の洞から少数のハチ(アシナガバチ?)が出入りしているのが確認された。参加者にハチの生態と対応の仕方を説明し、静かに注意して行動するよう促した。
・今回の森の観察会では、鏡を使っての樹木の観察を初めて試みた。自然観察に小道具を使用することは新鮮味が感じられるのか、特に子どもたちの反応が良かったように思う。
・また、「葉っぱトランプ」と「葉っぱスタンプ」や、「虫たちの切り紙細工」のワークショップも初めて実施してみたが、自然観察の成果として参加者一人一人が自分の作品を持ち帰ることができて、これは、大人にも子どもにも好評だった。特に子どもたちにとっては、夏休みの自由研究の素材にもなることから、人気があったようだ。
・今回のように各サポーターの得意分野や特技を生かした観察会の実施方法は、参加者にとって、また主催者側(特に、自然ふれあい楽校のように種々の活動団体が協力して活動しているグループ)にとっても、自然への興味を育て、学びを深めるため、とても有効な方法だとの確信を得ました。

(4)第6回三浦半島森づくりフォーラム

報告/おおくすエコミュージアムの会 野崎
写真記録/おおくすエコミュージアムの会 木皿

□日時/7月17日(月:海の日)10:10~11:50
□会場/湘南國際村センター研究棟208号室
□参加者/一般10人 来賓 3人(横須賀市環境部、市自然・人文博物館) 自然ふれあい楽校グループ12人
□配布資料/プログラム進行表、パネリスト紹介リスト、パネリスト考察発表資料、
横須賀市「みどりの基本計画概要版」、神奈川県緑政部「かながわの森と水」「森は水のふるさと」

メインタイトル:
「大楠山ゾーンのみどりのネットワーク~~大楠緑地・前田川・秋谷海岸~~を考える」
    

[開催案内と趣旨]
 自然の中で活動するとき、私たちが意識し注意を払うべきは、森、川、海の3要素、つまり「水と緑のネットワーク」です。
「湘南国際村めぐりの森」づくり事業開始から7年が経過した今、大楠山ゾーンの森「大楠緑地」、川「前田川」、海「秋谷海岸」のネットワークについて再考し、再確認したいと思います。

第6回三浦半島森づくりフォーラム
10:10~10:15 開会あいさつとフォーラム開催の趣旨説明
コーディネータ:野崎章子(三浦半島「自然ふれあい楽校」代表)
第6回目を迎える今回の森づくりフォーラムの趣旨を説明し、大楠緑地・前田川・秋谷海岸の現状を発表する3人のパネリストを紹介した。
また、横須賀市環境政策部自然環境共生課が発行した「横須賀市みどりの基本計画概要版」(配布資料)の該当ページ及び本日出席した横須賀市の担当職員を紹介した。

10:15~10:40 大楠緑地の生物多様性について
パネリスト:天白牧夫(NPO法人三浦半島生物多様性保全 理事長)
大楠緑地の生物多様性について、「大楠緑地の立地」、「保全上重要な生物」、「秋谷海岸から大楠緑地までを利用する生物」、「大楠緑地は保全できるか」の内容を発表した。

10:40~11:05 “めぐりの森”と秋谷の海を結ぶ前田川
パネリスト:髙橋弘二(横須賀「水と環境」研究会代表/めぐりの森づくり推進会議会長)
「湘南國際村めぐりの森の水環境」、「前田川水系」、「前田川の水環境」、「前田川から“めぐりの森”へ」、「前田川のリバーウォッチング」、「外来生物」について発表した。

11:10~11:35 秋谷海岸~そこにみられる環境と生物
パネリスト:萩原清司(横須賀市自然・人文博物館 海洋生物学担当学芸員)
「秋谷海岸とは」、「スナガニとその巣穴」、「秋谷海岸の河川周縁性の生物」、「前田川の通し回遊魚」、「前田川の新顔の魚」について発表した。

11:35~11:50 意見交換
(天白氏:生物多様性について)
マテバシイの植林地が雨で崩れたが、かつて海海苔の養殖に適した木材として植えられたもの。今回の九州の豪雨で被害に遭ったところも、1種類のみを植えた人工林であった。
(高橋氏:芦名川の水質について)
西浄化センターの供用開始でずいぶん改善されたが、芦名川は流域に多くの人家があるため、生活排水の流入により水質は前田川よりは劣る。
(萩原氏:アカテガニの少なさと繁殖の可能性について)
アカテガニは、生息に適した環境があれば、相模湾のどこでも繁殖は可能。湿潤で崖や石垣などが適地。

感想・課題など

3人のパネリストが各々「めぐりの森」の2つの緑地、前田川(と支流の尾形瀬川)、秋谷海岸について、その自然(みどり)の変遷や現状と課題を提示し、考察を加えてくださった。ここから私達各々はあらためて、自分たちの活動の目指すところや周辺環境との関連性、そして何に留意して“めぐりの森づくり”に取り組んでいくのかと言う大命題を真剣に考え、見極めていかなければいけないのだが、その思考の拠り所、ヒントとなるものを、今回は、3人のパネリストから数々指摘していただいたことになる。
しかし、僅か100分と言う短い時間の中で、この大テーマでの意見交換や討論を行うことは不可能であった。
また今回は、湘南国際村めぐりの森に対して横須賀市がどのような視点からどのような施策を推進しようとしているかを確認することができたものの、残念ながら、所有者である神奈川県の意向とその施策の方向性を確かめる機会とすることはできなかった。
2010年7月の「協働参加型めぐりの森づくり推進会議」「湘南国際村めぐりの森保全活用協議会」設立から7年が経過し、関わる団体やグループの活動も力強く進展してきている現在、「めぐりの森」の“森づくり”と“保全活用”について、神奈川県の意向と私たちの志向とが同方向を目指しているか否かを再確認する時期にきていると感じられる。次回の森づくりフォーラムは、「めぐりの森」の現在を検証し、これからの活動の進め方、関係団体相互の協力のあり方などを、十分な時間をかけて話し合う場としたいものである。